イメージを売るに際して、写真の効果を最大限に活用したこと。すなわち彼らは写真を多用したパンフレットを作り、それを販売の武器とした。われわれは実物を見る時に、それが写真に写っている姿と同じ姿をしているように見えてしまうという癖がある。すなわち実物を無垢の状態で、白紙の状態で眺めることができない。オスカー・ワイルドによれば「自然は芸術を模倣する。そして今日においては「現実は写真を模倣する」のである。展示場住宅のカタログは、このようなわれわれの習性を最大限に活用したものである。
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すなわち展示場住宅の外観も、インテリアも、まるでパンフレットに載っている写真のように、人々の目には映るのである。美しい白樺の木立に囲まれて建つ「わが家」、庭には季節の花が咲き乱れ、ガレージにはBMWが止まっている。部屋の中に足を踏み入れれば、グランドピアノを弾く娘と、ソファにすわってパイプをくゆらす父親。登場人物はモデルさん達であるから、娘は飛びきりかわいく、父は貫禄と気品を兼ね備えている。置かれた家具、小物は一流品であり、広角レンズによって部屋は異常に広く見える。モデルルームという現実の空間を眺めている時でさえ、実はパンフレットで作られたこのイメージを見ているのである。そしてもしこの住宅を手に入れれば、パンフレットの世界がそのまま自分のものになると錯覚してしまう。展示場住宅が画期的だったのは、その出来上がりの状態が、家を建てる前からわかるからだという話がある。