日本の持ち家家計が「安全資産」による貯蓄に熱心で、米国の家計か株式投資を好むというのが、どちらも合理的な資産選択の結果だという研究を紹介しました。ところが日本では、家計の貯蓄か銀行や郵政公社による国債の購入に使われて、国全体のB/Sを見ると、家計の貯蓄と政府の借入(国債)が「両建て」になっています。この資産と負債の「両建て」が、20年近くにわたって、デフレ経済の下で膨張を続けてきたのです。1990年代初めのバブル崩壊後、日本経済は大掛かりな財政出動と赤字国債の増発によって、かろうじて支えられてきました。1997年の橋本龍太郎内閣による時期尚早な財政健全化の試みは、「山拓ショック(同年一一月の北海道拓殖銀行の経営破綻、山一誕券の自主廃業)」にはじまる金融危機を引き起こします。当時の消費税増税(3から5パーセントへ、5兆円増)、所得税特別減税の廃止(2兆円)、健康保険の自己負担増加(1割から2割へ、2兆円増)という、後日「誰も足し算をしていなかった」と揶揄された合計9兆円の国民負担が増した結果、日本は先進諸国では戦後初めて本格的なデフレに突入します。その後も日本経済は、2003年頃に輸出主導の一時的な立ち直りを見せますが、結局本格的な成長路線に復帰することなく、2008年秋の世界同時不況により再び深刻なデフレに陥ってしまいました。この間、日本人の家計は消費を切り詰めせっせと貯蓄に励んで、デフレを助長するとともに政府の借金を低利で賄ってきました。「家計が国の尻拭い?」といわれていますが、実は家計が積極的に消費をしないので、国が家計の代わりに財政出動を続けてきたともいえるのです。ただしいずれにしても、そろそろこの国の負債と家計の資産の「両建て」も限界に近づいていることは、先の日経新聞の記事にもあるとおりです。
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